■ハーフラバー Vibram EXP (2mm) 使用
3,300円(税込)
少し深めのシボ感が魅力のレイマーのペニーローファー。
新品時にハーフラバーの貼り付けです。
お客様は、まずハーフラバーを貼るか止めるか迷われながらご来店されました。
そんな中でいろいろとメリット&デメリットなどを話しながらさらに迷われていましたが、貼る方向で決断されました。
ハーフラバーのメリットとして一番に挙げられる事はソールの「耐久性が上がる」という事です。
接地する素材が、貼り付けるゴムになるので当たり前といえばその通りですね。
次なるメリットは「滑り止め」です。
基本的にはレザーソールに貼り付ける事が多いハーフラバーなので、歩行時に滑ると感じる革素材よりラバーの方がグリップが付きますので安心感が増します。
逆にデメリットを考えると一番に出てくるのは「ソールが曲がりにくくなる」です。
新品時はただでさえ堅く感じる革靴ですが、ゴムを貼る事でさらに堅くなり馴染むまでに時間が掛かります。
場合によっては自身の足のカカトが擦れて皮が破れたり水ぶくれが出来たりと痛い思いをする可能性が高くなります。
これに付随して、使用初期はつま先が極端に減ります。まぁ、つま先までゴムが貼ってあるのでレザーのままでも削れる事を考えれば多少のメリットにもなっているのですが・・・。
つま先の減りが気になる方は、先端をスチールで補強する方法もあります。
次にですが、通気性が阻害されますので足が蒸れやすく感じる事があります。
一般的にハーフラバーにおけるデメリットはこんな感じですかね。
ただ聞いてほしい事は、この通気性の悪さということが単に自身の不快感だけで終わるならまだ良いという事なのです。
人間の足は1日にコップ一杯分(約200ml/両足)の汗をかくと言われていますが、この水分と塩分は革靴の内部に湿気として染み込み、靴を内部から腐食させていきます。怖いですね。
ソールが革の状態であれば2、3日で乾く靴の内部が、ラバーで蓋をする事によって湿気った状態が4、5日と続く事になります。
持っている足数や使うタイミングによってですが、まだしっかり乾かないうちにまたコップ一杯分の食塩水を靴の中に追加していく事になっているかもしれません。
そうすると、基本的に交換を想定していない素材なんかも傷んでしまい、結果的に靴の寿命を縮めるパターン少なくありません。
ハーフラバーを貼る時はある程度の覚悟をした方が良い場合もあります。
と。上では少し怖い話しをしましたが、ではなぜこのお客様の靴にハーフラバーを貼ったのかと言うとお客様にもデメリットの話をして、その上で使い方や使う頻度などをお聞きした時に「それなら大丈夫」と判断したからです。
具体的に言うと。
・ビジネスでは使わないので履いても週末に一回履くかどうか。
・普段はスニーカーが多く履く頻度は高くなさそう。
・レザーソールは滑ると感じた事がある。
・自身の年齢等もあり革靴に興味が出てきた。※これは今後足数も増えればこの靴を履く登場回数も減るだろうという、こちら側からの一方的な希望的観測です(笑。
といった所でしょうか。
長々書いていますが、ハーフラバーひとつ取ってもメリットやデメリットなど色々とあります。ですので、修理持込時にはこう言った話しをしながら加工するかどうかを決めてくださいね。
ちなみに、今回のお客様からの質問で「店主ならハーフラバーをつけますか」の問いには「ハーフラバーは嫌いなのでつけません(笑」と答えていますよ。
人それぞれで履き方がありますのでご相談ください。
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